優秀な人材を獲得するために! 賃金よりも働くモチベーションを高めるものとは
- 会社に求めている事と会社が求めている事の一致
- お金では買えないやりがいををいかに提示できるか。
- 会社の目標を画一させて見せる事。
どんな仕事でもそうですが、ひとりでできることには限界があります。どんな大きな会社も、どんな立派な事業も、「ここまでひとりでやってきました」ということはあり得ません。私たちは、周囲の人々と協力することによって生きており、すばらしい結果を出すことができているのです。
そう考えると、起業において重要なのは「人材の確保」であることは、疑いようのない事実です。それも、できるだけ“優秀な”人材を確保しなければなりません。もし、優秀な人材が集まってくる土壌を構築できれば、それだけで、起業の成功確率は高まると言っても過言ではないでしょう。
ただし、多くの企業が抱えているように、人材確保はつねに課題となっています。「どうやって人材を集めればいいのか」「他社ではなく自社を選んでもらうにはどうしたらいいのか」「採用した人材に長く働いてもらうには何が必要なのか」。そのような人材に関する悩みは枚挙にいとまがありません。
とくにスタートアップやベンチャー企業ともなると、将来的な見通しが十分でないだけに、より多くの候補者に魅力を伝えるのが難しい。そこで必要となるのが、賃金や会社の安定ではなく、それ以外の部分で、強力なインパクトのあるアプローチなのです。それは、「働く意義」に直結する根本的な思想です。
こんなおもしろい逸話があります。現在では、だれもが知っている大手テレビ局のフジテレビ。お台場にある本社ビルは観光地としても有名です。ただ、そんなフジテレビも、設立当初から順風満帆に伸びていたわけではありません。度重なる苦難を乗り越えて、いまの地位を獲得しているのです。
1970年代、視聴率が低迷していたフジテレビは、「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチフレーズを打ち出し、『オレたちひょうきん族』や『笑っていいとも』などのバラエティ番組に注力。その結果、1982年から1993年まで、12年連続で「年間視聴率三冠王」を達成することができたのです。
ただし、その後の低迷はご存知のとおりです。実は、低迷の背景にあるのは、「有名大学生を採用するようになったこと」にあると分析されています。なぜ、有名大学生を採用したら視聴率が下がってしまうのでしょうか。その理由は、斬新な発想で番組をつくることができなくなってしまったからです。
後発であるフジテレビは、他のキー局に対して「追いつけ・追い越せ」の精神で、斬新な番組づくりをしていました。しかし、ひとたび人気がでると、有名大学の学生が採用面接に訪れるようになる。すると「うちも有名大学の学生が来る会社になったか」と、有頂天になってしまい、「楽しくなければテレビじゃない」の心を忘れてしまったのです。
もちろん、有名大学の出身者だからといって、おもしろい番組がつくれないわけではありません。そうではなく、もともとフジテレビはベンチャー気質の会社であったのにも関わらず、官僚的な傾向のある人材を優先的に採用してしまったことに問題があるのです。企業にとって、優秀な人材の定義は異なって然るべきということです。
あらかじめ、自社が求めている人材についてしっかりと考えておけば、フジテレビのような失敗をおかすことはないはずです。まずは、自分たちがどのような事業をしていて、どこを目指していて、そのために必要な人材はどういった人なのかを、明らかにしておくことです。
そのうえで、適切だと思われる人材にアプローチしていく。このときに大切なのは、「その人材が何を求めているのか」と「その会社は何を実現しようとしているのか」を、マッチさせることです。定期報酬やインセンティブ、待遇なども大事ですが、それよりも、ベンチャー企業であるがゆえに、「この会社で働く意義」を提示する必要があるのです。